先日、岡田将生さん主演のハムレット(舞台)を見てきました。シェイクスピアの有名な悲劇。狂気の話。
ハムレットを初めて読んだ中学時代は、「登場人物が全員頭おかしくなった」としか思ってなかった。15 年程経た今、もう一度ハムレットに触れて、全く違う感想を持ちました。
人間の狂気とは何か、何が人を狂わせるのか、その結末は。
諸々を省略すると、ハムレットとは「みーんな狂って死んじゃいました」って話。中学生のときは、それしか理解してなかったかも。
狂気なセリフ、オンパレードな中、私にとって印象深かったのはポローニアス(主人公ハムレットの家臣&恋人の父親)が死んだ時。
事故か意図的か、家臣を刺し殺したハムレット。その遺体を眺め、ハムレットは言ったのです。
「(こいつは)やっと静かで、口が堅く、厳かになった」
そう、死ねば皆、静かで口が堅く、厳かになる。
人間ってものは、不思議なものだ。生きていれば、こんなに一人一人違うのに、死んだらおんなじだ。仏教では、どんなクソ野郎でも、死んだら自動的に仏様の弟子に自動的に入門するし、厳かなものだ。
ハムレットの発言は狂気そのものだが、否定できない何か、真実があるのかもしれない。
なぜ彼らは狂ってしまったのか。狂気とは何か。
人を疑う、人を貶める、人を騙す。
それが結局自分の、人の寿命を縮める。それが、まざまざと伝わる舞台でした。
結局人を貶めるってのは、自分を貶めることであり、人を騙すのも自分を騙すことになるし、すべてのことは我が身に返ってくるのだ、と実感しました。
人の狂気を理解できるようになったとは、成長の過程で私も狂気を抱いたのか、従来持っていた狂気に気づいただけなのか。
オフィーリア役の黒木華ちゃん、ドラマでも映画でもかなりの役者っぷり。本物は更にすごかった。どのシーンが印象的かって、オフィーリアが最高に狂っていた時。同じ生活空間にいるのに、オフィーリアだけ別次元に居るかのような迫真の演技でした。
やはりハムレットのテーマは「狂気」だった。