5年以上前に我が家にやってきたベビーカーは、新しい嫁入り先が決まった。
長く自分がお世話になったものに、別れを告げる。必要としている人に、譲る。
それは必然の事。だけど、胸の奥が少しだけ、キュッとする。
長女れーちゃんが赤ちゃんの頃から、ずっと使っていたこの茶色のベビーカー。これは、二人の姉が出産祝いに贈ってくれたものだった。
三姉妹の末っ子という立場柄、あらゆる事において先達が居て、お下がりがあった。されど、出産に関しては姉という先達がいなかった。
「ベビーカーってどうやって使うんだろう?」
そんな初歩的な疑問を持ちながら、真新しいベビーカーと向き合ったのが、昨日のことのように感じる。5年以上も前なのに。
これまで、私は子供たちの成長を寂しく思ったことはない。
昨日よりも今日、今日よりも明日、もっともっと可愛くなり関係の深まる我が子達が目の前に居るから。それに、「早く人間になって欲しい」とすら思っている。
なのに、今日初めて、5年前の出来事が昨日の事かのように感じた。
- 出産前に狭い玄関でベビーカーの片手開閉を練習したこと
- エレベーターがある道順を必死で探したこと
- ベビーカーに長くは乗ってくれずに結局抱っこしながら歩いたこと
- エレベーターが見つからず、ベビーカーごと持ち上げて階段を上ったこと
- どうやったら泣き止むのかわからず、とにかくベビーカーを押し続けて寝かしつけたこと
- やっと眠った赤ちゃんを起こしたくなくて、帰宅しても玄関内でベビーカーにそのまま赤ちゃんを寝かせていたこと
ベビーカーには、本当にお世話になった。
ベビーカーでお昼寝させたり、椅子代わりにしておやつを食べさせたり。
一緒にお花見したり
ベビーカーから立ち上がって脱出しようとしたり、
結局ベビーカーに乗ってくれなくて、ただの荷物置きになってたり。
使わなくなったものを、手放す。
お嫁に行く。
ベビーカーが自分の手元を離れると決まった瞬間、これまでの思い出がわーっと一気に押し押せてくる。
我が家は合計3台のベビーカーを使ったことがある。一人乗り1台時代、一人乗り✕2台時代、一人乗り+二人乗り時代があった。
二人乗りベビーカーを友人に譲った時は、こんなに感慨深くならなかった。超愛用していたが、「やれやれ、やっと狭い玄関から荷物が減った」と爽快だった。
今回は違う。
もちろん、荷物が減り、玄関がスッキリするのは嬉しい。けれど、どことなく胸がキュッとするのだ。これは寂しさなのだろうか。
ベビーカーが新しいお家に行く前に、キレイにお掃除してあげよう。
そう思った。「今までありがとう」の思いを込めて、お手入れしてあげよう。
手放す時こそ、とびっきりの手入れをしてあげたい。
これまでこんな風に思ったことは、あんまりなかった。これも私の心が、進歩した証かしら。ほんの少しだけでも。
娘を嫁にやるって、こんな気持ちに近いのかなぁ。
ベビーカーは「我が家にはいらなくなったから手放す」だけど、嫁入りとは「子供にとってママがいらなくなったから」なのかなぁ。またはママよりも大事にしたい物ができるからなのか。
「母親ってのは、子供にとっては本妻みたいな存在」。数年前にそんな風に思っていたが、いつか本妻ですらなくなる日が、来るのかなぁ。
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