打たれ弱いママの徒然日記ー子育てや留学体験記など

打たれ弱いママの日々を綴ります。

イギリスの保険制度と選挙

イギリスに6年住んでいた私には、ごく自然にイギリス人の友達が沢山居る。

 

イギリス総選挙が迫る今、SNSでも選挙の話が多くなってきた。私の友人たちが口を同じく言うのは

 

NHSを守るために、保守党には入れるな!

 

です。

 

NHSって何なのか、保守党は何をしようとしてるのか、イギリス国民はなぜ反対なのか。住んでいたからこそ知っている部分をこちらでもご紹介します。

 

【NHSとは】

National Health Serviceの略、日本語の「国民健康保険」に相当します。が、サービス内容は日本の国民健康保険とは違います。

 

1割なり3割なり、自己負担額があるのが日本の健康保険。病院窓口で2000円なり1000円なり払うのが一般的。

 

イギリスでは自費診療項目以外は全て無料。16歳以下の子供に至っては処方料も無料。何歳でも医者に払うお金は0。

 

こんなシステムなので、「金を積めば先に診察してもらえる」という様なズルは無い。そもそも金を積めないから。(あったとしても、私は知らないです)

救急センターなどでは、乳幼児や緊急性の高い患者を優先的に診察する程度で、ひたすら順番待ち。

 

私は長期滞在の留学生で、長期ビザも持っていたので、このNHSの恩恵にあやかれました。医者にお金を払ったことはありません。

 

日本では保険が効かなくて高いピルも、イギリスでは無料だった。避妊に関する費用は全額国費負担にもなるのが驚きだった。(私はピル推奨派で、今も飲んでいる。

 

 

【NHSの良い所】

合法的なイギリス在住者であれば、誰しも無料で医療を受けれること。これに尽きます。

 

アメリカの保険制度はこれと真逆で、イギリス人はアメリカ的保険制度なんてまっぴらごめんだ!とか野蛮だ!と思ってます。

 

アメリカではお金がなければ医療を受けれない。

 

イギリス人にとっては、アメリカとは「幼い子供に脳腫瘍があっても、金がなきゃ死ね」と言ってる国です。

 

21世紀にもなって、弱き者に救済の手を差し伸べないのは野蛮に映るのです。

 

【NHSの悪い所】

融通は効きません。全額国費運営なので、できるだけ手間や無駄は省かれている。

 

例えば、内視鏡検査を受けることになれば、日時・場所全てが完全指定され、変更は不可。

 

「この時間にこの場所に来れないのであれば、貴方は検査を受ける必要があるほどの病気ではないと見なします」

 

というのが、NHSの見解。オペレーションの無駄を省くため、

 

 

【保守党は何をしようとしてるのか】

NHS、イギリスの保険制度を民営化しようとしているらしい。もし民営化されたら、アメリカ企業に買われたり乗っ取られたりする可能性も出てくる。それを快く思うイギリス人はほとんど居ないでしょう。

 

【イギリス国民が反対している理由】

民営化したら、営利目的になる。今までは誰もが平等に受けることができた医療を、貧乏人は受けることができなくなる。そんなのおかしい!!!と。

 

「脳腫瘍があっても金がなきゃ死ね」という文化の国の企業に食いつぶされる、とイギリス国民は恐れているのです。

 

私のイギリスでのら友人の大半は、お金に困っていない。その彼らが民営化を反対するのは、自分たちの為だけではなく、それ以外の人々や道義的なものを考えた上で反対しています。

 

私はイギリスに住んでいた間も、今も、イギリスでの選挙権はありません。影響力はほぼない。けど、私はイギリスを愛している。

 

ユーラシア大陸の向こう側の私の第二の故郷。もちろん完璧とは言えない保険制度ですが、NHSが民営化されて営利目的企業に食いつぶされるのは見たくありません。

 

そうさせない為に私ができることなんて、ほとんどないけど、とりあえず祈ってみる。私の友人たちが、私の第二の故郷の人々が、これからも健康面において安心できることを。

 

どうか、どうか、そんなことになりませんように。