5年以上前に世界的ベストセラーになった本「サピエンス全史」を読んだ。
あまりにも興味深い本で、様々な感想が出て来たので紹介したくなりました。
今回は感想①。上巻の内容まとめ+私の感想を綴る。
ジャレッド・ダイヤモンド氏の「銃・病原菌・鉄」が好きな人には刺さる本です。
人類は食物連鎖の中間に居る
人類とは、決して屈曲な体でも生物界で最優秀な頭脳の持ち主でもない。素手で戦うなら、象やライオンはおろか、牛と決闘しても勝ち目はない。食物連鎖の中間に位置する動物。
この現代を生きていると、「人間は動物である」ことをすっかり忘れることも多い。生殖・食事・睡眠、気候による体調不良に目を向けると、どう考えても動物である。
そして、生身の人間は決して百獣の王ではない。
現代人はネアンデルタール人より劣ってる?
現存する人類は我々、「ホモ・サピエンス」と呼ばれる生物のみ。大昔は他の人類も居たのだ。
ホモ・エレクトス、ホモ・ネアンデルタールシス、ホモ・ルドルフエンシス等など。
これらの人類種は「並列」に存在していた。
ぶっちゃけ、ホモ・サピエンスってそんなに優れた「ヒト」でもなかった。
個体の運動能力も頭脳の大きさもネアンデルタール人に負けてたらしい。ボクシングしたら多分負ける。
なのに、ホモ・サピエンスは他の人類種(ネアンデルタール、エレクトスなど)を、戦いによって滅亡させた。
はて、何故でしょう。
勝因は人海戦術
1対1では勝てない。けれど、100対30なら勝てる。
歴史上ホモ・サピエンスが勝ち残って来た(駆逐して来た)理由がここにある。
ネアンデルタール人始め、他の類種はせいぜい30名程度の部族で行動していた。いわゆる親族単位の団体行動だ。
サピエンスという種は100名を超えるコミュニティを形成していた。100人も居れば、血族以外の人も混ざっている。
強者30名 VS 中庸な人100名以上
となると、後者の勝率ははねあがる。
これだけ大人数を抱えるコミュニティを作れたのには訳があった。それはホモ・サピエンスの「虚構を信じる」という特性だった。
虚構による巨大なコミュニティ
虚構とは何か。実体のないもの。
ホモ・サピエンスは、実体のない何か(神、貨幣など)を信じることにより、巨大な共同体を成した。
たとえば、同じキリスト教徒ならば赤の他人であっても異国の教会内で親しくすることもできる。
天照大御神を信ずる人たちには一体感が生まれる。
実体のない共通の何か(虚構)を信じることにより、ホモ・サピエンスは結束した。そして、マンモスはもちろん、他の人類種や大型哺乳類も滅亡に追いやった。
人海戦術によって戦力を増やす。こうすることで、遺伝子の進化を待たずとも巨体マンモスにも勝てるようなった。
※ちなみに、「会社」「法人」という存在も虚構。会社のビルを燃やしても、会社自体が消滅したりしない。実体がないものの上に、多くの人が集まっている。
人類の祖先は自然と共存なんてしてない
「昔の人間は自然と共存していた」というのは、真っ赤な嘘である。アフリカで生まれたホモ・サピエンスは、何千年とかけて地球上のあちこちに移動した。
ホモ・サピエンスが「新大陸」に到着したタイミングと、「新大陸」内に生息していた大型哺乳類の滅亡時期はほぼ一致する。他のホモ族(人類種)も、滅亡に追いやってる。
狩猟採集民であった時代から、我々人類は生態系の破壊者/改変者であった。農業を開始してからは、その破壊っぷりは加速する。
こんな事が、「サピエンス全史」の上巻には書いてある。ここから先は、私個人の感想↓
人類=おこがましい生き物
私はこの上巻を通じて、「人間とはなんとおこがましい生き物だ!」と感じた。現存する人類「ホモ・サピエンス」の命名にそれを感じる。
- ホモ=ヒト
- サピエンス=賢い
※いずれもラテン語
自分自身の生物学名を「賢い人」と名付けた。決して脳の容量で、他の人類に勝っていたわけでもないのに、自らを「賢い」としている。
人間には、とても賢いとは思えない、むしろ愚かな点も沢山ある。「善行」の結果、自らの首を何度も締めている。
マンモスを乱獲→マンモスが絶滅→人間の食料が減る
農業を開始→慣れない前かがみの姿勢で、椎間板ヘルニアになる
こんな悲劇がおびただしい程沢山ある。
私達の祖先は、決して悪い結果を望んた訳ではない。少しずつ変化していった結果、現在があるだけ。
だとしても…
私達はおこがましい生き物である。多くの他の生物を滅亡に追いやり、兄弟にあたる他の人類種を壊滅し、生き残った。
その事実は変わらない。
上巻だけでも、数々の固定概念を覆す本でした。次なる下巻も、固定概念を取っ払う本です。
次回は下巻の内容(ホモ・サピエンス内の覇権争い等)・感想を書きます。